悔し涙

「あ、ヤバい、ヤバい」そう言って彼女は上を向いたが、その時には涙が数滴、目からあふれ出していた。

本日実施された理科のテストで、太陽の惑星を順番に答える設問が出た。学校の授業でやったプリントでは太陽が書いてあったが、テスト用紙にはなかった。それで、順番が一つずつずれてしまった。小惑星の位置を答える順番も、前問で順番がずれているので、結果としてまちがえてしまった。小問13問ほどをみすみす失った。同じミスをした子がほかにも何人もいて、テスト終了後数人が集まり、しばらくの時間をあれやこれや話した。

彼女の述懐である。負けん気の強さを表すと同時に、そのミスを悔やしく思い、大切な試験で大きな失点をしてしまったことに対する自責の念からの悔し涙であったろう。慰めるべきか、注意を促すべきかの判断と、かける言葉に迷った。

「まだ明日(のテスト)もある。気にするな」

とだけ言い残し、その場を離れた。そのほうが、彼女にとって、気が楽だろうと思ったからである。背を向け、離れる際に「そういうこともある、そういうことも‥」と小声で言ったが、彼女にはおそらく聞こえなかったろう。

彼女が学ぶべきは、こうしたミスを受験本番で絶対にしないと肝に銘じ、ケアレス・ミスによる失点を限りなくゼロにすることである。今回の期末テストの重要性はよく理解している子だ。だからこその涙なのだが、期末テストでまだよかった、そう思えるように、今後のあらゆるテストで細かいところにも目を配り、作問者の仕掛ける落とし穴に引っかからないようになることが、この経験を活かしきることにつながる。

まずは明日のテストで、さらには、来月の模試で、そうして、入試本番で。「あの悔しさを二度と味わうまい」と心に誓い、とれるところは着実に得点できる受験生であれるよう、精進してもらいたい。