ちっちゃなおもひで
北野天満宮にほど近く、大通りに面してはいるものの、店内にはカウンター席2つ、あとは丸椅子が二つおいてあるだけのちっちゃなお店、「ちっちゃなおもひで」に行って来た。本当に久しぶりである。「おもひで焼き」の特大一つとかき氷をおいしく食べた。
コロナで大変やったでしょう。
「そうや。ただ、一人でやってるこんな小さな店やさかい、知れたあるわ。そやし、観光客相手のお店とちごて、常連さんが多いよって、何とかやってる。でも、自粛はきちんとやったで、要請に従って。」
「そうかいな。亀岡に。京都市内より涼しく、雨が多いってよう聞くけど。物価も、地価も安いんと違うの。」
初めてこの店に行ったのは、かれこれ6年ほど前だろうか。さすがに常連と呼ばれるほど、回数は行っていないが、「73歳、今年で74。元気やで。」のおばちゃん、顔は覚えてくれている。
「値段も上げん。キャベツの量を減らすなんてこともせん。手が覚えてしもとるから、キャベツを少なくなんてでけんわ。この前来てくれたお客さん、
『おばちゃん、僕5歳の時からよう、ここへ来とってんけど、覚えてくれてる?』ゆうさかいに、『あんさんがキムタクみたいな男前やったら覚えてるけど、悪いけど、覚えてへんわ。』ゆうたら、『僕、本名木村ですねん。』こういうんや(笑い)。ほんでな、『小さいときからおばちゃんのこの味、全然変わらへん。』ってゆうてくれはった。変わらへん。変わらへんでー。」
「健康の秘訣?そら、よう寝て、よう働いて、ようしゃべって(笑い)、きちんと食べることやろな。」
「おもひで焼き」特大480円、かき氷180円。味も変わらず、値段も変わらない。
変わったのは、以前は龍安寺近くの自宅から自転車で通っていたのが、今は嵐電の「龍安寺」から「北野白梅」まで電車での通勤に変わったこと。アルコール消毒、換気、など感染防止の対策をとったうえ、マスクをつけて話をするときも距離を十分とって話をするようになったこと。
「シルバーの割引つこてる。つかえるもんはつかわんとな。」
一つ目の変化は、しかたがない。二つ目の変化が、少し寂しく残念である。