満月

昨夜、中秋の名月は美しく照り輝いていた。

朝、東山の駅を降り、その学校の説明会に向かう道すがら、白川沿いの道に面した和菓子屋さんの前を通りがかった。「月見団子あります」の文字。

そうだ、今夜は中秋の名月だと思いあたった。説明会を終え、やはり、その学校での開催でなくっちゃ、雰囲気なんかが全くわからないよなと改めて感じつつ、校門の外に出ると掲示板があり、そこには浄土宗の開祖、法然の歌が。

月影のいたらぬ里はなけれども ながむる人の心にぞすむ

中秋の名月であれ、今夜の十六夜(いざよい)の月であれ、月は確かにそこにあり、美しい光で我々を照らし出してくれる。

ただ、その事実に目を向ける者もいれば、目を向けない者もいるのだ。「ながむる人」と、そうではない人。どちらの人生がより豊かで味わい深いものになるかは、論を待たない。

月が送ってくれるやわらかな光を、美しいと思える心でありたい。そして、それに感謝する気持ちを忘れない自分でいたい。

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